大塚農園 大塚一郎さん

「1年1年無駄にはできない」

/ 大塚農園 大塚一郎さん 

「四国の美しい山あいの町、小田」

四国は現在、瀬戸内芸術祭や外国人お遍路の増加、
しまなみ海道のサイクリングブームなど注目を集める地域だ。
特に欧米系の外国人の間では日本の文化が色濃く残る
癒しの島としても知られている。

法蔵寺から見た農村風景

「清らかな川の恵みと百姓の遺伝子」

愛媛県内子町小田は愛媛県で2番目に長い河川である
「小田川」の源流域の地域だ。

小田川は清流としても知られており、
汚れた川に住めないアユの生息地であり
春から秋にかけて川魚を釣りに地域内外の人が竿を降ろす。

農作物はほとんどが水分でできており、
水質が野菜の質を大きく左右する。
清流小田川の源流域である小田地区は
農業用水に恵まれており、
美味しい野菜がたくさん実る地域だ。

笑顔がとても似合う大らかな性格の大塚さん

「大塚農園の米づくり」

今回は米づくりに目を向ける。
大塚農園は小田地区を中心にトマトやお米など
多様な作物を育てている。

農業機械を用いながら
土おこし、水張り、田植え、水管理、 稲刈り、脱穀まで、
こだわりを持ちながら米を作っている。
枚数は小田地区最多の72枚を耕している。
今回は中でも土おこしの現場を取材した。

大塚農園の代表、大塚一郎さん。
和やかでおおらか、かつ几帳面な人柄は 地元からの信頼が厚い。

トラクターが耕した後がまっすぐ引かれていく
几帳面な性格が土にも現れている

「土おこし」とは田んぼに水を張る前に
2,3回土をかき混ぜ、稲が育ちやすいようにする作業だ。
トラクターを用い、効率よく綺麗に整備していく。
昔は鍬(くわ)を牛引かせたりしていたが、
現在はトラクターや耕運機が主流だ。

トラクターで土を起こしていく。背景には農村風景が広がる

作業は見ていてとても気持ちが良かった。
田んぼの角の部分から始まり、
まっすぐ線を引くかのように土が起こされていく。
背景には晴れた空と、美しい里山の風景。

土からエサが出てくるのを待ち構えるサギ

土を起こすと、地表付近で眠っていた
カエルやミミズが飛び出てくる。
トラクターが耕したあとを
エサを狙ってサギが待ちかまえていた。
毎日同じサギが大塚さんのトラクターを
追いかけてくるのだという。

土おこしが完了した畑

談笑する一郎さん

「日々の農作業、限りある時間を大切に」

作業は1時間ほどで終わり、 次の畑に向かう。
午前中から夕方までこの作業を繰り返す。
次の日もその次の日も。

作業は変われど、農作物は変われど
一郎さんの農作業は続く。

「今年で56歳。あと20回もできんとなると、
1年、1年、無駄にはできんよ」

より良い農作物への探究心と行動力を 物語る一言だった。

趣味は寝る前の読書。
「現実から離れられるのがすごく楽しいんよ」
と毎晩のように読むのだという。

一郎さんの情の厚い農業はこれからも
小田の農村風景に温もりと美しさを与え続ける。

トラクターを荷台に載せて次の田んぼへ


取材:2020年5月1日
文:岡山紘明
写真:水本誠時

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